十二の暦の物語【短編集】
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『はー…』

ガムテープを破って、ダンボールとダンボールを張り合わせる
その日の放課後。めでたくベタにお化け屋敷をやることになったウチのクラス

『…めんどくせ…』

皆、よくそんなテンション上がってんなぁ…
あたし、どっちかって言ったら体育祭好きだし(運動部だしね)
早く部活やりたいし…
ぶっちゃけ文化祭の準備とか面倒以外の何者でも無いんだよね

『…ってか…あたしバスケ部だよ?関係無いけど…こんな細かいことチマチマやってらんないっつの…』

ぐちぐち言いながらも、無表情でガムテープをビーッと引っ張る
すると、隣にとん。と茶色いダンボールが山を作った

『…またぁ?』

どんだけあたしにガムテープ張らせる気だよクラスの連中…
うんざりしていると、声をかけられた

「あの…桜井さん?」
『んぇ?』

右上を見上げると、一ノ宮 空(ソラ)が立っていた
顔は別に悪くないし、チビだけど
勉強できるし、運動あんまりだけど
なのに弱気なヘタレ男子

なのに、あたしの体温は一気に上昇した

『な…何?』
「俺も、この係りになったから…」

弱々しく言いながら、あたしの隣に座り込んだ

『そ…そっかそっか…』
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