十二の暦の物語【短編集】
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『ま…またダンボールか…』

放課後、トイレに行って教室に戻ると机の上に大量のダンボールとガムテープが置いてあった
黒い布を切りながら大騒ぎしてる恵太(ケイタ)が叫んできた

「いーじゃん!!一ノ宮とできるんだから!!」
『うるせーぞコラァ!!』
「マジでー。ま、ガムテ係りは神奈(カンナ)しか頼れねぇのよ」
『全然嬉しくない』

きっぱり言い放ってガムテープをビーッとやる

「…今日も多いね…」
『わ、ビックリした』

あたしの机の前に、一ノ宮が立っていた
あたしの前の席に座って、ダンボールとガムテープを1つづつ取った

『…これさ、いつまで続くのかな』
「さぁ…かなり有るね」
『はー…』

長い溜息をついて、聞こえないように呟いた

『……大会近いのに……』

マジ文化祭とか必要無いっての

「あの、桜井さん…」
『ん?』
「俺、1人でやるから…部活行く…?」
『ぇえ?』

ビックリして、変な声が出た

『…聞こえた?』
「…すいません…」
『いや、いーよ』
「桜井さん、折角バスケ上手いのにね」
『ま、文化祭は皆でやるモンだし』

ホントは、こんなの放り出してさっさとバッシュに履き替えた
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