十二の暦の物語【短編集】
『あ、そーだ』

思い出してバッグからCDを出した

『CDありがと。返すの遅れてゴメン』
「全っ然大丈夫ですっ!」
『めっちゃ良かった!特に7番かなあ』
「あ、俺も7番好きですっ」
『マジで?イイよねあれ。サビがさあ――』

隣に目を向けると、一ノ宮の姿が無かった
後ろを振り返ると、空を見上げて突っ立っていた


『……一ノ宮?』


「……あっ、ご、ごめんなさいっ」

慌てて駆け寄ってきた

『いーけどさ、何、見てた?』
「あっ、あのっ…綺麗…だったからつい…」

言いながら、人差し指で上を指した

『え?』

上を見上げると、真っ暗だった




いや、違う…?
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