十二の暦の物語【短編集】
「ぉわ。ビックリした」
『何?』

大きなハッキリした声に2人揃って後ろを振り向いた

あと10秒で今年が終わる

…凄いよ。お賽銭
ホントにお願いが叶っちゃうなんて
和哉と、一緒に、年を跨ぎ越せるなんて
本当に叶うなんて信じられない

「9ー!!!!」

『あとちょっとで…新年だね』
「ああ」

ぐっ。と、ニットの長い袖の中で拳を硬く握り締める
お願いが叶って調子に乗ってるかもしれないけど…

私…今此処で言わないと
もう、きっと、和哉に想いを伝えられないと思う

「8ー!!!!」

「はーち!!!!」

集団から外れた場所に居る和哉は、楽しそうな無邪気な顔で私の隣で腕を突き上げてカウントをし始める

『あのね…和哉…』

「7ー!!!!」

「んー??ななー!!!!何ー??」

私に目もくれずに叫び続ける

こんなに寒いのに、掌は汗が滲んでる

『私っ…』

「6ー!!!!」

「ろーく!!!!」

『私っ!!…』





『好きですっ』
< 17 / 190 >

この作品をシェア

pagetop