十二の暦の物語【短編集】

2人乗り

かんっ

英語担当の先生が、黒板の下に付いている銀のフレームに、チョークを置いた

「それじゃ皆!宿題忘れんなよっ!!」
「「「「はーい」」」」

ネクタイを緩めながら、出て行った

『はーっ』

長く息を吐きながら、ノートとテキストをバッグに入れた
そして、すぐ横に見える外を見た
真っ暗。真っ暗で、都内だからネオンで星空なんて見えない
真っ暗で寒そう

『明日かあ…』

明日から、北海道へ修学旅行だ
楽しみだなーっ

早く帰って今日の復習して、今日は早めにお風呂入って寝よう
そう思ってバッグを取って立ち上がろうとしたら

「神楽(カグラ)ちゃん~」
「今から大丈夫か?」

同じクラスの渡辺君と佐藤君と矢川君が近寄ってきた

『ん?』
「分かんねえ所あんだけど…」
「教えてもらっていいか?」

3人は、よく私に分からない場所を聞きに来る

『うんっ。大丈夫だよ』
「そっか?悪りぃなっ」
『ううんっ』

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