十二の暦の物語【短編集】
「フーーッ」

和泉(イズミ)君が、渡辺君達に向かって猫の威嚇みたいに息を吐いた

『そ、それで和泉君…何かな…?』
「あ、そーだっ」

和泉君が笑顔になって、それからいきなり泣きそうな顔になって
大声で私に泣きついてきた

「助けて神楽センパイーーーーッ!!!!」
『え…ぇええ?』

渡辺君達の前で喚き散らしていたら、渡辺君達が苦笑いで行ってくれた

「神楽ちゃん…大変そーだね…?」
「俺等もう分かったから…」
「あ、ありがとな…」
『ご、ごめんねっ』

あたふたしながら和泉君を引っ張って教室を出た

『あ、ぇっと…中学生も同じ時間だったんだね…?』
「…ぅん…中3だけ…」
『そ、そっか…それで…どうしたの…?』

和泉君が顔を上げた
涙で目が潤んでいて、可愛いなんて思ってしまった

「俺高校入れねーかもーーーー!!!!!」



『……え?』
< 173 / 190 >

この作品をシェア

pagetop