十二の暦の物語【短編集】
『それで…どこが分かんないのかな…?』

ファーストフード店に入って、向かい合って座った
和泉君はノートと教科書を広げると

「んーとね、問4と5と6と7!!」
『そ、そっか…』

ほとんど全部…

「神楽センパイ…呆れてる?」
『えっ?そんなこと無いよっ』

赤ペンを取り出して、和泉君の教科書を覗き込んだ

『えっとね……あ、和泉君、ここから間違ってるよ』
「え、うっそ」
『これは2年生でやったよね。代入がちゃんとできないよ』
「…ああああ…なぁるほど…」
『問4はそこからが間違ってるから、ここが直れば解けるよ』
「…やってみる」

かちゃかちゃと水色のシャーペンを振って芯を出して、ノートに覆いかぶさる様に問題を解き始めた




「ん~…と…できたっ」

和泉君が笑顔で私にノートを見せてきた

「どう?できてるっしょ?」
『……うん。正解!』

和泉君が解いたばかりの文字の上に、赤丸を付けた

「やったぁ!!」
『じゃあ問5はね…』
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