十二の暦の物語【短編集】
がちゃん

「センパイっ。後ろ乗ってー」
『いいの?』
「いいの!!俺が送るー」
『じゃあ…お願いします』

和泉君の自転車の後ろに乗った
横座りで、両手で荷台をしっかり握った

「…神楽センパイ」
『ん?』
「多分、ちゃんと掴まってないと落ちるよ?」
『え、そう…かな。どうすれば…』
「ココ。ちゃんと手ー回してね」

和泉君が、自分の腰を指差した

『え…ぇええっ』
「何、恥ずかしーの?」
『う…うん…』
「今更ー。てかセンパイ、2ケツ初めて?」
『うん…』
「へーっ。じゃあ俺が始めての2ケツの相手ー?何気嬉しい」
『そ、そう?』

控え目に、和泉君の腰に手を回してぎゅっと握った

「おっし。んじゃー行きますかーっ」

和泉君が明るい声で、ハンドルをぐっと握った
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