十二の暦の物語【短編集】

「…え…」

「5ー!!!!」

カウントをするやたら五月蝿い声を出すのを止めて
腕を、だらんとさせて信じられない顔で私を見下す

もう、こうなったら…最後まで…


『好きですっ…中学の頃からずっと…』

「4ー!!!!」

カウントの声が遠くに感じる
真っ赤になりながら必死に想いを伝えた

『全然会えなかったけど…好き…』

「3ー!!!!」
ぐい

3秒前カウントと同じタイミングで、いきなり横に引っ張られた

よろけて、和哉に近づいて、それから全く間もなく、

私は顔を真上に上げて
和哉の瞳は私の目の前で閉じられていて
私の唇は――



和哉と重なって
< 18 / 190 >

この作品をシェア

pagetop