十二の暦の物語【短編集】
「他の皆も随分上手くなったねぇ」

面を取って休憩している部員皆を見渡して呟やく

『皆頑張ってますよっ』

自信たっぷりに笑顔で言うと、自分よりもずっと低いあたしの顔を見て、そうだね。って

「来年も、全国行けたらいいね」
『そ…そこまでは…照先輩が居ないと…無理ですよ…』
「いやー。俺が居なくても大丈夫だよー」

「これからは弥生ちゃんが女子主将さんで。ね」

あたしの顔から、一瞬笑顔が消えた

そんな、笑顔で
言わないでくださいよ


「俺が居なくても大丈夫」なんて
あたしは、先輩が居なくなったら
先輩が卒業したら

哀しいです
寂しいです

ちっとも大丈夫じゃないですよ
< 59 / 190 >

この作品をシェア

pagetop