十二の暦の物語【短編集】
6月の花嫁――ジューンブライド
6月に結婚式を挙げた花嫁は、幸せになるというお話
私は、22歳になった今でもまだ、ジューンブライドに憧れている
今年こそは、今年こそは…そう思いながら実った恋
私の隣で雨を見つめている男の人
中学の時から好きだった、隼人(ハヤト)先輩
1年先輩の隼人先輩とは、卒業して会わなくなって
それでもまだ私は先輩が大好きで
もう会えないと分かっていても、今度会えたら想いを伝えようと思って…
それで、一昨年入社した会社の上司が、隼人先輩だった
私はその時驚き半分感動半分で、去年想いを打ち明けた
隼人先輩は、俺も好きだった。と言って今までずっと私に付き合ってくれた
これは、ちょっと図々しいかもしれないけど運命だ。と思ってしまって――
密かに、私をジューンブライドにしてくれるのは隼人先輩なんじゃないかと思って…
でも
『もう…駄目か…』
小さく溜息をついて暗い車の中で、青々と光るデジタル時計を見る
現在、6月31日 PM8:29
今日で、6月が終わる
今日は隼人先輩がディナーに連れて行ってくれて、多分、それで終わり
べ…別に結婚申し込まれるなんて思っても無いけど…
「どうした?」
『あっ…何でもありませんっ』
溜息に気が付いて顔を覗き込む隼人先輩
いけない。ご馳走してくれて、高い服まで買って貰って溜息なんて失礼すぎる
「そうか…」
『今日は本当に、ご馳走様でした!』
「いーって。また今度も誘っていいか?」
『あ…今度は私にご馳走させてください!!』
「別に無理すんなよ?」
私だって、隼人先輩には及ばないけど一流企業でそれなりにお給料は貰ってるから、今度お礼にお返ししよう
そう思っていると
「水月」
6月に結婚式を挙げた花嫁は、幸せになるというお話
私は、22歳になった今でもまだ、ジューンブライドに憧れている
今年こそは、今年こそは…そう思いながら実った恋
私の隣で雨を見つめている男の人
中学の時から好きだった、隼人(ハヤト)先輩
1年先輩の隼人先輩とは、卒業して会わなくなって
それでもまだ私は先輩が大好きで
もう会えないと分かっていても、今度会えたら想いを伝えようと思って…
それで、一昨年入社した会社の上司が、隼人先輩だった
私はその時驚き半分感動半分で、去年想いを打ち明けた
隼人先輩は、俺も好きだった。と言って今までずっと私に付き合ってくれた
これは、ちょっと図々しいかもしれないけど運命だ。と思ってしまって――
密かに、私をジューンブライドにしてくれるのは隼人先輩なんじゃないかと思って…
でも
『もう…駄目か…』
小さく溜息をついて暗い車の中で、青々と光るデジタル時計を見る
現在、6月31日 PM8:29
今日で、6月が終わる
今日は隼人先輩がディナーに連れて行ってくれて、多分、それで終わり
べ…別に結婚申し込まれるなんて思っても無いけど…
「どうした?」
『あっ…何でもありませんっ』
溜息に気が付いて顔を覗き込む隼人先輩
いけない。ご馳走してくれて、高い服まで買って貰って溜息なんて失礼すぎる
「そうか…」
『今日は本当に、ご馳走様でした!』
「いーって。また今度も誘っていいか?」
『あ…今度は私にご馳走させてください!!』
「別に無理すんなよ?」
私だって、隼人先輩には及ばないけど一流企業でそれなりにお給料は貰ってるから、今度お礼にお返ししよう
そう思っていると
「水月」