雨情物語②<鯉患い>
池のほとりに、ひとりの少女の姿があります。
少女は池の淵に屈んでいます。
雨つぶが、池に溶けていきます。
「好きな人ができたのです」
チャプン。
少女は手にしたポリ袋から取り出した麩を小さくちぎって、池の中に放りました。
―――ほぅ…
返事なのか、麩を吸い込む音なのか。
一匹の鯉が水面に顔を出しました。
それは美しい錦鯉で、体長70センチほどの大きな体をつやつやと光らせながら口をパクパクさせて次の麩を催促しています。
「好きな人ができたのです」
チャプン。
少女はもう一度呟きながら麩を鯉の口元に落ちるようになげいれました。
少女は池の淵に屈んでいます。
雨つぶが、池に溶けていきます。
「好きな人ができたのです」
チャプン。
少女は手にしたポリ袋から取り出した麩を小さくちぎって、池の中に放りました。
―――ほぅ…
返事なのか、麩を吸い込む音なのか。
一匹の鯉が水面に顔を出しました。
それは美しい錦鯉で、体長70センチほどの大きな体をつやつやと光らせながら口をパクパクさせて次の麩を催促しています。
「好きな人ができたのです」
チャプン。
少女はもう一度呟きながら麩を鯉の口元に落ちるようになげいれました。