哀しみの音色
 
結局、俺が水島莉桜に話しかけることはなく、お互い別々の授業へと向かった。

一瞬、目が合ったような気もするけど、向こうは俺のことなんか全然覚えていないといったように、何も反応することはなかった。






「お疲れ様でしたー」


夜9時。バイトが終わる。

俺は店長らに、一言挨拶をすると店を出た。


「あー、疲れたぁ……」


俺のやっているバイトは、カフェのバイト。
このバイトは最近始めたばかりで、まだまだ覚えることがいっぱい。

俺は疲れた体を癒そうと、甘いものが食べたくなったため、いつもと違う道を通ってコンビニへ寄ろうとした。


その時……



「~~~」



どこからか、歌声が聞こえた。
 
< 10 / 164 >

この作品をシェア

pagetop