哀しみの音色
結局、俺が水島莉桜に話しかけることはなく、お互い別々の授業へと向かった。
一瞬、目が合ったような気もするけど、向こうは俺のことなんか全然覚えていないといったように、何も反応することはなかった。
「お疲れ様でしたー」
夜9時。バイトが終わる。
俺は店長らに、一言挨拶をすると店を出た。
「あー、疲れたぁ……」
俺のやっているバイトは、カフェのバイト。
このバイトは最近始めたばかりで、まだまだ覚えることがいっぱい。
俺は疲れた体を癒そうと、甘いものが食べたくなったため、いつもと違う道を通ってコンビニへ寄ろうとした。
その時……
「~~~」
どこからか、歌声が聞こえた。