哀しみの音色
9章 それだけで十分
「やっぱりここは……」
目的地に着いて、俺は目の前にある光景を見渡した。
俺の目の前に広がるのは、いくつも並ぶお墓……。
きっとここは、蓮さんが眠る場所だ……。
特別すごい広いわけではないけど、一度に見渡せるほどの狭さでもない。
俺は一歩足を踏み入れると、莉桜を探した。
正直、心臓がバクバクといっている。
もし、会った瞬間に、拒絶されたらどうしようという不安は残っている。
だけどいつまでも俺が逃げているわけにもいかないから……。
そんな思いを胸にしまい、一歩ずつ中へ踏み込んでいく。
そしてその先に……
「……莉桜…」
一つのお墓の前にたたずむ、莉桜の姿があった。