哀しみの音色
 
「!!!」


目を開くと、真っ白な天井。
鼻にくる、独特の薬品のにおい。


そして耳に響く……



「あなたのコトバで 止まっていた針が動き出す
動き出した今 あなたに伝えたい
あたしは あなたと一緒に生きたい」



莉桜の歌声……。



「………り……お…」

「…っ!!」



俺の声に、閉じていた瞼を開く莉桜。

目を大きく見開いて、俺を見つめる。


「……わりぃ……
 泣かせ、ちまったな……」

「……っ……バ、カァッ!!」


莉桜は大粒の涙を流して、俺の胸へ飛び込んだ。

俺の瞼にも、熱い涙が浮かんだ。
 
 
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