哀しみの音色
「バ…カッ……樹のバカッ……」
「ああ……本当に…俺はバカだな……」
どれくらい意識がなかったのか分からない。
俺の体は、思った以上にどこも動かなくて
声を発するのに一苦労だった。
だけどどうしてもこれだけは伝えたい。
「莉桜の歌声……聞こえたよ……」
確かに聞こえた…
凛とした莉桜の歌声。
それがあったから、俺は今こうやって、目を覚ますことができた。
「俺は……
莉桜をおいて、死んだりなんかしない……」
これが俺たちの、最大の約束―――。