哀しみの音色
最終章 約束
「はぁ……気持ちいいなー!」
あれから1か月。
リハビリをかねた入院生活も終わり、俺と莉桜は初めて一緒に来た海へと来ていた。
1か月近く寝たきりだった俺の体は、予想以上に筋肉が衰えていて、最初は歩くことさえもままならなかった。
だけど若さもあり、日々のリハビリで、なんとか1か月程で元の体力くらいに戻り、退院もすることができた。
「はしゃぎすぎ」
砂浜に降りて大きな声で伸びをする俺に、少し冷ややかな声で突っ込みを入れる莉桜。
俺はくるりと振り返ると
「当たり前だろ。
数か月ぶりの遠出なんだから」
「……自業自得でしょ」
「……はい」
莉桜の突っ込みは相変わらず鋭い。
そんな莉桜の耳には、俺が莉桜の誕生日プレゼントとして買った、青いピアスが光っていた。