哀しみの音色
2章 知らない名前
「あ……」
そんな彼女と出会ってから、1週間ほど経ったとき、授業の移動中、校内で彼女を見かけた。
思わず、声が漏れる。
「何?」
急に声をあげた俺に、隣にいた雄太が聞き返した。
そして目線の先にいた彼女に気づく。
「お、水島莉桜じゃん」
雄太は、彼女を見てすぐに、名前を出した。
彼女の名前を聞いたのは、はじめてだった。
「知り合い?」
思わず聞いてしまう質問。
それにたいして雄太は、「まさか!」と乾いた笑いを漏らすと……
「でも超有名じゃん!大学一の美人と言われるほどの」
「……へー…」
そこまで言われていたことに、正直驚いていた。