哀しみの音色
2章 知らない名前
 
「あ……」


そんな彼女と出会ってから、1週間ほど経ったとき、授業の移動中、校内で彼女を見かけた。

思わず、声が漏れる。


「何?」


急に声をあげた俺に、隣にいた雄太が聞き返した。
そして目線の先にいた彼女に気づく。


「お、水島莉桜じゃん」


雄太は、彼女を見てすぐに、名前を出した。

彼女の名前を聞いたのは、はじめてだった。


「知り合い?」


思わず聞いてしまう質問。
それにたいして雄太は、「まさか!」と乾いた笑いを漏らすと……


「でも超有名じゃん!大学一の美人と言われるほどの」
「……へー…」


そこまで言われていたことに、正直驚いていた。
 
< 8 / 164 >

この作品をシェア

pagetop