哀しみの音色
「お前って、そういうのうといもんなー。
女に興味ないわけ?」
「いや、そんなことねぇよ」
どっちかといえば、ありありだ。
だけどなかなか自分からアクションを仕掛けることができないから、ここ1年彼女なしの生活を送っている。
「水島もなー、すげぇ美人なんだけど、性格に難あり……なんだよな」
「ふーん……どんなふうに?」
「とにかく毒舌!にこりとも笑わねぇし、告ってきた男を、こっぴどく振ってるらしいぜ」
「……」
それを聞いて納得した。
確かに偶然居合わしたあの場。
告白した男は、見るも無残な結果に終わっていた。
「ま、そんなだから、水島を狙うのはやめておけ」
「そんなんじゃねぇよ」
バンと背中を叩く雄太に、俺は吐き出すように否定した。
別にそんなんじゃない。
ただちょっとだけ、気になっただけだ。
あの時見せた冷たすぎる瞳が……。