哀しみの音色
8章 大切なこと
俺は、その写真を見たまま、まるで全神経が金縛りにあっているかのように動けないでいた。
そして、ガチャと音を立てて、部屋の扉が開く。
その音とともに、首だけが解放され、莉桜へと向けた。
「ごめん、終わった……」
電話を握り締め、立ちすくんでいる俺を見る莉桜。
そして俺が手に持っているものに気が付くと……
「………ッ!!!」
莉桜は俺から奪い取るように、写真立てを取った。
「……莉桜…」
「……っ」
怯えるように、肩を震わせ俺に背を向ける莉桜。
俺には、かける言葉が見つからなかった。