またここで君に逢えたら〜*I love you even if far*〜
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「さっき、何話してたんだ?」
帰りのバスを待っているとき、伊月がいきなりそう言った。
さっきとは、香穂ちゃんがあたしに耳打ちで言ったことだろう。
「んー?……そんなのナイショに決まってるじゃん。」
『とものこと、よろしくね。』
彼女は確かにそう言った。
か細い声で。
それは果たしてどういう意味なのかバカなあたしにはわからなかった。
「あたしが面倒見てるわけじゃないしな……」
「……は、?」
「いや、なんでも……」
とものこと、よろしくね。
それって、あたしが香穂ちゃんの代わりになれってこと!?
すっかり暗くなった空からは月が顔を出していた。
月明かりに照らされる彼はいつもとは違うように思えた。
「……ねぇ、伊月。………少しは伊月の力になれた?」
伊月の瞳にあたしが映し出される。