またここで君に逢えたら〜*I love you even if far*〜


「……伊月、笑ってた方が似合うよ。」

気づけばそんな言葉をもらしていた。


は?何言ってんだ。早く座れ。

と、照れ隠しなのかそう君は言った。

あたしは伊月の隣のシートに座ると出発のアナウンスが流れた。

流れていく街並みにあたしは君と出逢った時のことを思い出した。



最初はサイテーなヤツだった。

えんぴつのこともそう。あたしのことを見下して楽しんで、そんでもってあたしの心にズカズカ入って来て確信をすぐについた。


何たって一番腹が立ったのは大好きな、元とそっくりだから。


そっくりだけど元はそんなヤツじゃない。一緒にするな。ってずっと思ってた。


でも、明らかになっていく君の過去はあたしよりもはるか、重いことを知った。


どうしても力になりたかった。

あたしのことを助けてくれた、君のために何かしてあげたかった。


でも、そんな心に抱えた暗闇を周りのみんなに晒すことなんてなく、もちろんあたしなんか相手にしてくれなかった。


だけど、伊月はさっきあたしに言ってくれた。

ありがとな…って。




< 167 / 361 >

この作品をシェア

pagetop