またここで君に逢えたら〜*I love you even if far*〜
「え?…いいよ。伊月風邪引いちゃう…あたし戻るし…」
あたしは慌ててジャケットを伊月に押し返す。
すると伊月は怪訝そうな表情であたしを見つめた。
「お前に拒否権なんてねーよ。ってかお前に心配されるようなヤワな身体じゃねーから。」
伊月はジャケットをひったくるともう一度あたしの肩にかけた。
「でも、戻らないと…」
「お前はここにいろ。」
そう、静かに伊月は言った。
俺様なヤツ。
拒否権ってあたしはあんたのしもべかよ。
伊月にかりたジャケットは伊月の体温で暖かかった。
ふとその後姿を見つめた。
そして緒形が言っていた言葉が脳裏に過った。
「……ねぇ、伊月。」
「ん。」
「伊月さ……卒業したら……」
外国行っちゃうの?
そう言いたかったのに最後の言葉がなぜか口に出せなかった。