またここで君に逢えたら〜*I love you even if far*〜
「……なに。」
「え、いや…別に」
知りたいのに、知りたくない。
外国に行ってしまうという事実を受け止めたくないから?
さみしいから?
それはどうして……
行ってほしくないとか思っている自分がいる。
家族でも親戚でも…彼女でもないのに
ただの友達なのに……行かないでなんて言えない。
卒業したらそれぞれ進路は違うから仕方が無いことなのに……
ただ、この居心地さに関係を崩したくないだけかもしれない。
運動場のステージから聞こえる歓声。
告白タイムが終わったようだ。
伊月は柵に肘を置いたままぼーっと遠くを見つめていた。
伊月のこんな近くに、隣にいることなんてあのときのあたしには想像できただろうか。
ただ、いつの間にか伊月の近くにいて……いつも助けてもらっていた。
そんな伊月は元と瓜二つでもやっぱり伊月は伊月で……
いつしか、そばにいたいなんて思うようになっていた。
ふわーっと秋風はあたしたちを包んだ。
────そんな秋の終わりのことだった