またここで君に逢えたら〜*I love you even if far*〜
歩道にならんだ不揃いな二つの影。
その間の距離は近くもなく、遠くもなく……
この距離は、友達?親友?家族?恋人?
んー、どれにも当てはまらないな。
強いて言うなら、親友…か。
信号が青に変わり、慌ただしい中人々は流れるように歩き出した。
その中で隣にいた伊月を見失って……
人混みが流れて急ぐ人の中で悲しくなったあたしは君の名を呼んだ。
「……伊月!!」
人混みの中で一人だけ、たった一人だけ君が振り返った。
あたしのところまで戻ってきた君は怪訝そうな顔をして、
「ったく、離すんじゃねーぞ」
と、伊月はあたしの腕を、手を引っ張るでもなく……そっと優しくあたしの手を握った。
キューっと胸が締め付けられるこの気持ちは知っている気がする。
「ねえ、伊月。伊月ってどんなこが好きなの?」
何言ってるんだと、気づいたときには遅くて……君はあたしの方を振り返った。
「ギャーギャー喚かねーヤツ」
サラッとそう言うとまた歩き出した。
……あたしは、論外か……。
香穂ちゃんがギャーギャー喚く姿なんて想像出来ないしね。