またここで君に逢えたら〜*I love you even if far*〜
体育館で卒業式が始まった。
最初に校歌を歌った。
今までこんなにきちんと歌ったことなんてないだろう。
緒形でさへも前を向いて歌っていた。
あたしのクラスの殆どは志望校に合格していた。
まさか、あたしも受かるなんて思ってなかった。
伊月のおかげかな……?
卒業の歌を歌っている途中、涙をすする音があちらこちらから聞こえてきた。
俯いて涙を流している生徒もいれば、ハンカチで顔を覆う生徒もいた。
この三年間色々あったな……
一番は、────伊月に出逢ったことだろう。
あいつに逢わなければ、あたしは今でもずっと泣いていただろう。
それを変えてくれたのは、紛れもなく伊月だ────。
「続きまして、卒業生代表による答辞。卒業生代表…伊月智哉」
すっ、と立ち上がった君は慣れたように舞台に上がって行く……