またここで君に逢えたら〜*I love you even if far*〜
アイツと初めて会った場所もそこだった。
海を眺めて泣いているアイツ。
正直、静かにして欲しかった。
しかし、その横顔に見覚えがあった。
入学式の日、一度俺はアイツに会っていた。
入学式は大勢の人で騒がしかった。
そんな中、行き交う人の中アイツとぶつかった。
「っ、すすいませんっ!!」
ぶつかってきたアイツのカバンが落ちて中身がバラバラになっていた。
俺も仕方なく拾っていくと一本の鉛筆が目に入った。
その鉛筆を拾うとそこには名前が彫られていた。
《あおい みわ》
平仮名でそう彫られていて、思わず笑いそうになったとき
恥ずかしいそうに頬を赤く染めたアイツに鉛筆を奪われた。
「…っ、す、す…すいませんでしたっ!」
もう一度そう言ったアイツは行き交う人にぶつかりながら走って行った。
何だ、あの女。
おかしいヤツだなと、思った。
それが泣いていたのはアイツだと確信したのは3年のクラスになってから。