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「ちゃんと返しに来てよね! 」
井上さんがクスリと笑う声がした。
僕は井上さんに背を向けて左手を軽く挙げた。
「りょーかいっ!」
ってさ。
そして、僕は井上さんの病室を出たんだ。
その瞬間に誰かが僕とすれ違った。
僕は思わずその人の腕を掴んでいた。
「ちょっと待てよ…。」
「は?」
彼が僕の方を振り返った。
やっぱりそうだ。こいつ……
「日向っ!!」
僕が世界で一番嫌いな男だ…。
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