何度でもまたあなたに恋をする
真剣な眼差しで何度もそう言う清水さん。そんなに何かあるのだろうか。聞いていたらクレーム対応なんかは入ってなかったけれど。あたしが不思議そうに見ていたことに気がついたのか「わかったな?」と更に念押ししてまた帳簿作成の説明に移った。

卒業前に勇気を出して良かったな。昔はOLになりたいって思ったこともあったから夢が少しの間だけでも叶った。

幼稚園のときは、花屋さん。
小学生と中学生のときは、保育士さん。
高校ではOLに憧れてた。OLに憧れてたのはドラマで見たオフィスラブの影響だけれど。

それでもそれなりに将来の夢だった。保育士さんはピアノに挫折したけれど大学では資格も取って就職活動だってしっかりとやってきていた。何社も落ちたけれどいつかは絶対にどこかに受かってやるって気持ちだけは捨てなかった。

それなのに、あたしはもう就職活動すら出来ない。

大学4年生の春、あたしは久々に両親に呼び出された。実家から大学に通える距離ではあったけれど両親は自営業をしているし、シェアリングという響きに惹かれてお姉ちゃんと一緒に住みはじめた。

そして、去年お姉ちゃんは結婚。
実家に戻るか悩んだけれど一人暮らしも悪くないと今は一人暮らしを満喫している。
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