何度でもまたあなたに恋をする
「おい、随分な態度だな。ペナルティまた追加するぞ」

「もういりません。また同じ過ちをするところだったなんて。もう明日からも来ません」

翌朝、あたしは清水さんを避けた。また同じことになるのが嫌だから。同じ人を好きになって、失恋して。悲しすぎて記憶の中から消してそれに気づかず、また同じ人を好きになるなんてなんて馬鹿なんだ。

まだ清水さんを思い出せないけれどあたしが今まで好きな人が出来なかったのはきっとそれくらい酷い失恋をしたからで。心の何処かにその傷があったからなのだとすればなんとなくわからないでもない。

お姉ちゃんは絶対に認めないって言ってたけれどここに来るのも今日で最後にする。それなのに、清水さんにいきなり腕を引っ張られ無理矢理階段の裏まで連れて来られた。

「聞いたのか?お前、馬鹿だろ。13歳の俺が8歳の少女に告られて受け入れたらおかしいだろ」

「8歳?そんなことお姉ちゃん、何も」

「人の話は最後まで聞け。ともかくそれでお前が納得しねえからこっぴどく俺も言ったかもしんねーけど今は違うだろう?22と27の大人なんだし、お前の気持ちも受け入れられる。てかもう俺を追ってここに入ってきたわけだし、俺のもんだろが?」

8歳。それなら仕方ないか。なんだか腑に落ちないけれどさすがに8歳の告白は受け入れられるわけがない。そんなことを考えていると清水さんの顔が間近に迫っていて、思わず顔を背けた。
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