何度でもまたあなたに恋をする
「電話に出なくてもいいなんて、あたし仕事できないよ。いる意味ないよね」

電話応対も出来ないなんて本当にあたし、何の意味もない。それなのに自分で口に出した言葉に傷ついている。人が当たり前に出来ることが出来ないなんて情けない。

本当、勢いだけで言い出して突っ走るだけですぐ挫折して傷つくなんてまるっきり子どもだ。この人に好きだなんて思ってもらえるような資格も魅力も何もない。

「そんなことない。お前が俺のそばにいることだけで十分、意味があるんだ」

少しだけ優しい口調で言ってくれる言葉もあたしにはふさわしくない。嬉しい言葉なのに聞いてはいけない気がして耳を塞ぎたくなる。俯いたままの顔を上げることなんて絶対に無理だ。

「・・・もう、これ以上」

「お前の悪い癖。ちっとも直ってねえな。勝手にふさぎこんで好意すらも遠慮するとこ」

「それ、どういうこと?」

さっきまでの心配そうな表情から一転して、腕を組み少し睨みつけるように私を見る彼。どういうことだろう?まるでその口ぶりは昔から私を知っているような。

「お前のいいとこでもあり、悪いとこでもあんだよ、それ。確かに遠慮するのはわかるけど、あまり遠慮ばっかされたら好意が踏みにじられた気分になんだよ」
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