何度でもまたあなたに恋をする
「諦めるっていうか、なんだか違ってたみたいでした。だから・・・」

「へえ。違ってたみたいって思ってた人と違ってたってことだよな？」

「はい。あたしが思ってた人は仕事がバリバリ出来る大人の男の人だったので」

帰りますねと言うも彼は一向にそこを退いてはくれない。早く帰りたいのにとキッときつく睨みつけると彼は恐ろしいほど不敵な笑みを浮かべてこう言った。

「誰が帰っていいって？すみませんでしたで済ませるわけねえだろ。仮にも一度は騙してここに来ようとしてたわけだしな」

「だからそれは、すみませんって謝ってるじゃないですか」

「今、ここで俺が下のやつを呼んであんたのしたことを言えばどうなるかな？確実にさっき言ったことになるだろうな」

「お、脅すんですか？」

「俺と契約しようぜ。というかあんたに拒否権はねえけどな」

「契約ってなんですか？」

ひどい。まさか脅しにかかるなんて。本当、昨日までのあたしに目を覚ませと言いたい。こんな人に会うためにお姉ちゃんに頼み込んでリスクを背負ってまでここに来たいと思っていた自分に。
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