不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
認めたくなかった。
認めてしまうと、嫌でも現実を受け止めなきゃならなくなるから。
愛翔には好きな人がいて……。
その人と付き合うことになったら、あたしは必要とされなくなる。
そうなった時のことを考えたら、胸の奥の方が苦しくて仕方なかった。
だんだんこっちに近付いて来る愛翔をチラッと見つめる。
相変わらずの無表情で不機嫌さ丸出し。
あたしの視線に気付いたのか愛翔と目が合った。
鋭いその瞳は、まるであたしを追い詰めるかのように冷たくて。
いてもたってもいられなくなったあたしは、お弁当箱が入ったカバンをギュッと握り締めたまま勢い良く立ち上がった。
「ごめん、あたし先に教室戻るね」
「えっ⁉ちょ、美久」
驚いているまどかを置いて、そこから逃げるように立ち去った。