不良系幼なじみとの甘い恋愛事情


お祭り当日。



ママに浴衣を着せてもらった。


お祭りっていえばやっぱ浴衣でしょ。



「よく似合ってるよー、可愛い」



着付けの腕をここぞとばかりに振るって満足そうに微笑むママ。



紫の地に蝶々の柄が入った浴衣は、夏休みに入ってからパパに買ってもらったもの。



大人っぽくてかなり気に入っている。



去年はピンク色の浴衣を着てまどかとお祭りに行ったっけ。



「誰と行くんだ?」



「友達だよ、友達」



「友達って男か?」



「そうだけど?」



「…………」



それ以降パパは黙ってしまった。



面倒くさいことになりかねないので、あたしはあえてそれをスルーする。



触らぬ神に祟りなしってね。


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