不良系幼なじみとの甘い恋愛事情


なんの足音も聞こえない。


花火もいつの間に終わったのか、真っ暗な空間がそこにはあった。


人の気配もしなくて、あたしは俯いたまま力なくうなだれた。



もう来ないよね……。


きっと帰ったんだ。


あたしの声は届いていなかった。







「言うだけ言って、なんで泣いてんだよ……っ」



頭にフワッと乗った手の平。


甘い香り。


さっきまでとは違う優しい声。



「あ……あい、と……っ。なん、で?」



「なんでって……好きな女に告られてんのに帰るバカはいねえだろ?」



「えっ……⁉好きなって……っ」



頭が真っ白になる。



聞こえてたの?



わけがわからないよ。



ボケッとしてると、愛翔の指が顎に添えられて上を向かされた。



首を傾けて優しい眼差しであたしを見つめる愛翔にドキドキが治まらない。


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