不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
要件もなにも聞かれず、ただリビングに通された。
そこに愛翔の姿はない。
やっぱり思った通りだし。
「さっきから起こしてるんだけど、中々起きて来なくて……悪いけど美久ちゃん、起こして来てくれる?」
愛翔を迎えに来たともなんとも言ってないのに、こういうお願いをして来るところが実にユメさんらしい。
童顔のうちのママと比べると綺麗だし、笑顔がとても素敵な人。
結ちゃんとそっくりで、一緒にいると心がほんわか温かくなる。
「はーい」
キッチンに立って忙しなく動いているユメさんを見ていると、嫌とは言えなかった。
階段を上がって、廊下を突き進んだところにある愛翔の部屋を目指す。
小学生の頃、よくここに遊びに来たなぁ。
李久も入れて4人でよく一緒に遊んだっけ。
その頃から愛翔には散々意地悪をされて、いっつも結ちゃんが助けてくれてた。
そんな愛翔に意地悪をされなくなったのは、小学校高学年になってから。
突然なんの前触れもなく、愛翔があたしを避けるようになったことがきっかけ。
それから愛翔は、見た目とか素行がどんどん派手になっていったんだ。