不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
「幼なじみなんだから、話すきっかけくらいあるでしょ?」
話すきっかけ、ね。
あるにはある。
「もしかして……辰巳さんも長谷川君を好き、とか?」
渋っているあたしを見て、白崎さんが恐る恐るそう訊ねる。
静かなその声は穏やかにも聞こえたけど、瞳は氷のように冷たかった。
「だから里奈に紹介したくないんだ?」
「ち、違う……好きとか、ありえない」
奴がモテる理由すらわからないあたしにとって、好きだと勘違いされるのは本当に困りもの。
「それだけは絶対にないから」
勝手な勘違いで目を付けられたくなくて、身振り手振りを加えて必死に否定する。
「ならさぁ」
そう言って一歩ずつジリジリ近寄って来る二人の姿に心が怯む。
バックにはオレンジ色の夕焼け空が鮮やかに輝いていて、今はそれさえもが皮肉めいて見えた。
「紹介してくれるよね?」
ひぃ、怖いよー。
目力すごっ‼
「は、はいっ……‼」
気付くと、反射的にそう返事をしてしまっていた。