不良系幼なじみとの甘い恋愛事情


「リュウには内緒にしとくからね。行ってらっしゃい」



玄関先まで送り出してくれたユメさんは、あたし達に向かって大きく手を振っていた。



リュウとは、あたしのパパのこと。



自分で言うのもなんだけど、パパはあたしを溺愛しすぎてるから彼氏がいるとわかったら大変なことになる。



だからユメさんは気を利かせてくれたんだろうけど、パパよりも結ちゃんに内緒にしてて欲しいくらいだ。



「ほら、行くぞ」



落ち込んでるあたしを気にも留めず、愛翔はスタスタと先を歩いて行く。



偽りの関係とはいえ一応彼氏なわけだし、もう少し優しくしてくれてもいいんじゃないの?



「はぁ」



そんなこと思ったってムダなんだけどね。



学校までの足取りは重く、さらには愛翔と一緒に登校したことでかなりの注目を浴びる羽目になってしまった。



「え⁉あの2人って付き合ってんの⁉」



そんなヒソヒソ声があちこちから聞こえて来て、あたしと愛翔は教室に入るまで一言も口をきかなかった。


< 34 / 266 >

この作品をシェア

pagetop