不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
まどかって何気に愛翔ファンだったのね。
目を輝かせているまどかの横顔を見て、珍しいものを見た気になった。
「おい」
いつものように食後のお菓子を食べていたところに、背後から聞こえた低い声。
誰かなんて考えなくても、「おい」なんて呼ぶ失礼極まりない人は一人しかいない。
「ジュース買って来い」
振り返って目が合った途端、しれっとそう言われた。
なぜか静まり返る教室内。
あたし達は注目の的。
それほど、愛翔が誰かと喋るのが珍しいんだと思う。
ましてや、女子に話し掛けるなんて今までなかったから。
「な、なんであたしが……自分で行けばいいでしょ?」
偉そうな態度と命令口調に半ば呆れる。
「俺にそんな態度取っていいのかよ?」
挑発的な愛翔の言葉に、あたしはただ唇を噛み締めるしかなかった。