不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
あまりの痛さに涙が頬を伝った時、遠くの方から誰かの声が聞こえた。
「うわ、岩佐だ」
「あいつ、うぜえな。ヒーロー気取りかよ」
ちっ、と舌打ちが聞こえて、髪を掴んでいた手が放たれた。
途端に頭が軽くなって、ドサッと地面に崩れ落ちる。
「どうせなら、あいつも痛め付けてやるか」
「だね、前々から気に入らなかったし」
二人が話しているのをどうすることも出来ずに、ただ呆然と目を伏せて聞いていた。
岩佐さんはあたしを助けようとしてくれてるのに
あたしは……
怖くてなにも出来ない。
唇を噛み締めて、拳をギュッと握り締めた。
助けが来てくれてホッとしたのと同時に、弱い自分に腹が立つ。