不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
「覚えてろよ」
あたしにそう言って、白崎さんと金髪ギャルは渋々この場から走り去った。
た、助かった……。
「立てる?」
岩佐さんは座り込むあたしに向かって手を差し伸べてくれた。
白くて華奢な女の子らしい手。
そこからでも魅力が十分に伝わって来る。
「あ、うん、ありがとう」
その手を取って、なんとか立ち上がった。
岩佐さんとはクラスも違うのに、どうして助けてくれたりしたんだろう。
今日まで話したこともなかったのに。
「せ、先生は?」
そう言ってキョロキョロ見回したけど、誰の気配もしなかった。
「あれは、ウソだよ」
ペロッと舌を出して笑う岩佐さん。
「そうなの?」
「都合良くいてくれたら良かったんだけど。ごめんね、頼りなくて」
「そんなことっ」
あたしにとっては、岩佐さんが来てくれただけでも十分心強かった。