不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
「……愛翔(あいと)」
小さくそう呟くと愛翔は眉を寄せて顔をしかめた。
まさか話し掛けて来るなんてね。
すっかり変わってしまった派手な姿に少し戸惑う。
昔は口喧嘩してばっかだったのにな。
「ひ、ひさしぶり」
おずおずと愛翔の顔を見上げる。
ぶっきらぼうで無愛想。
男友達には笑顔を見せるのに、あたしが話し掛けるといつも不機嫌そうに返事をする。
ムシされることもしばしば。
ほら、今だって睨まれてる。
愛翔はきっと、あたしのことが嫌いなんだ。
ううん、絶対に。
学校の女子の前ではクールで通っているけど、あたしにとっては意地悪な悪ガキでしかない。
散々イジメられたこと、忘れてないんだからね。
ワックスで無造作に整えた襟足の長い茶髪の髪は、ふんわりしていてとても柔らかそう。
色気のある大きな瞳は野生の狼みたいに鋭くて、誰一人として寄せ付けないようなオーラを放っている。
それに校則違反しまくりの制服の着こなし。