不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
戸惑う心
「遅い。どこまで買いに行ってたんだ?ジュースもまともに買って来れねぇのかよ」
皮肉めいた口調でそう零す愛翔。
「だからごめんって。さっきから何回も謝ってるでしょ」
「つか、汚れてるし。どうやったら汚れんだよ?」
ジュースを受け取り、それを怪訝そうに見つめる愛翔。
「手が滑って落としちゃったの」
愛翔のせいだって言ってやりたかったけどグッとこらえた。
「ドジだな」
「そんなこと言うんだったら、自分で買いに行けばいいでしょ」
本当は白崎さんにからまれたからだけど、そんなことを言ったってきっと言い返されて終わりだ。
災難だったな、とか。
俺はモテるから仕方ないだろ、とか。
嫌みたらしく言われて終わり。
だったら、ムダな労力は使わないに越したことはない。
「ん」
自分の席へ戻ろうとしたあたしの前に、愛翔の手がスッと伸びて来た。