不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
「おい」
振り返らなくてもわかるぶっきらぼうな声の主。
ギクリとしながらも、ムシしてブランコから立ち上がった。
「待てよ」
早歩きで歩くあたしの後ろを追い掛けて来る。
「待てって」
腕を掴まれて、肩をビクッと震わせた。
「やだ、離して」
腕を振り払おうとブンブン振ってみせたけど、力が強いせいでビクともしない。
「なんであたしに構うの?暇つぶしなら他でやってよ」
別に誰でもいいんでしょ?
誰にでもそういうことしてるんでしょ?
あたしに簡単にキスするくらいだもん。
「バラしてもいいのかよ?お前の気持ち」
うっ
そうだ。
弱みを握られてるんだった。
感情的になりすぎて、そんなことすっかり忘れてた。
あたしは、愛翔に逆らえない。
「…………っ」
唇を噛み締める。
悔しいやら恥ずかしいやら色んな感情が混ざり合って、なんて言えばいいのかわからない。
握られた腕がじんじん熱くて、あたしの鼓動を掻き乱した。