不良系幼なじみとの甘い恋愛事情


「ほら、カバン」



「…………」



無言でカバンを受け取り、2人で並んで歩く。



キスのことは忘れよう。


事故に遭ったと思えばいいんだ。


そうすればすぐに忘れられる。


別になんてことないよ。



ファーストキスはもっと甘いもんだと思ってたのに。


そんな理想を愛翔は見事にぶち壊してくれた。



結ちゃんとだったらそれも叶ったかもしれないのに。



「まだ怒ってんのかよ?」



「さっきのことは忘れることにするから……愛翔もそうして」



そんなこと言わなくても、愛翔の中ではすでにそうなってるだろうけどさ。



慣れてそうだったし、色んな子としてるのかもしれない。



そんなことを思うと、胸の奥がチクッと痛んだ。



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