不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
「マジだけど、なんで?」
ポカンとするあたしに、愛翔がフッと笑ってみせた。
「ありえねぇ」
わけのわからない言葉に、ますます頭を悩ませる。
なんだって言うの?
「な、なによ?」
なんでそこで笑うわけ?
なんか変なこと言った?
腕を掴んだまま、愛翔は繁華街の中を突き進む。
あたしはそんな愛翔の横顔を見つめながら、笑われたことに唇を尖らせた。
「好きな人がいるなら、あたしと付き合ってる場合じゃないじゃん。頑張ってそのコに告白してみれば?うまくいくよう、協力してあげてもいいよ」
なんでこんなこと言ってんだろ。
余計なお節介だって言われるかもしれないのに。
だけど
好きな人がいるかもしれないとわかって、胸を痛めている自分もいた。
「自分がなに言ってるかわかってんの?」
単なる暇つぶしの相手に言われて気を悪くしたのか、愛翔が突然低く冷たい声を放った。
愛翔の行動をとやかく言う資格なんてあたしにはない。
「わかってるよ」
「わかってねぇよ」
「ちょっ」
腕を握る力が強まったと思うと、狭い路地裏へ向かって愛翔は歩き出した。