不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
「美久」
ドキッ
どうしよう、視線を合わせることが出来ない。
あからさまにそらしてしまっている。
名前を呼ばれたのはいつ以来だろう。
それだけでこんなにも鼓動が大きくなるなんて。
それに
この至近距離。
見ないようにしてても、どうしても愛翔の顔が見えてしまう。
「おい、ムシすんな」
「し、してないよ」
本当はしてるけど。
「ウソつけ。してるだろ?」
「……っ」
愛翔の大きな黒目が小さく揺れているのを見て、それ以上なにも言えなくなった。
なんとなく弱々しく見えて、なんて言ったらいいのかわからなかったんだ。
「お前マジでバカだな」
掴まれていた腕と体が解放されて
愛翔はなにごともなかったみたいにあたしに背を向けた。