不良系幼なじみとの甘い恋愛事情
「岩佐さんだ」
まどかの言葉にふと顔を上げると、見たくない光景が飛び込んで来た。
岩佐さんが体操服の袖で汗を拭う愛翔に駆け寄ってタオルを渡していたんだ。
ズキン
容赦無く痛む胸。
愛翔はそんな岩佐さんに笑顔を見せてタオルを受け取っている。
なにを話しているのかはわからないけど、とても楽しそうに見えた。
なんかいい雰囲気……。
あたしにはそんな笑顔を見せないくせに。
なんなのよ、本当。
「振られたのにめげないなんて……中々ツワモノですなぁ」
感心したように言うまどかの言葉を遠くの方で聞きながら、その光景を見ていたくなくて目をそらした。