Sourire
「どうしたの、ひとり?」

「うん」

カウンター席に腰掛けながら、マスターが差し出すコースターを眺める。

"Sourire"

使い込まれたそこに、かろうじて読める店名。

昼の顔のマスターに、いちど来てねと誘われていた。

でもなかなかかなわなくて。
場所もちゃんと知らなくて。

それが、雨の降るこんな夜に見つけられるとは思わなかった。
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