鬼畜彼氏
ーーーその頃。
「…ん。」
冷たい床に横たわっている感覚で、
ゆんちゃんは目を覚ました。
…ゆんちゃん、いつ寝たっけ…?
「…おはよう。
いきなり連れて来て悪かったな
お嬢ちゃん。」
目の前には、ヤクザっぽい人達が
周りを取り囲んでて
中でもボスっぽいのが、
偉そうにソファに座りながら
ゆんちゃんに話しかけた。
…誰、こいつ。
「…ふわぁ。」
キョロキョロ。
「寝よ。」
と、寝る体制に戻ろうとする。
「おい、コラァ!!
てめぇ、ボスが話しかけてんのに
シカトこいて寝るとは
一体どーゆうことじゃ!!
いてまうぞ?!」
うっさいなぁ。
ていうか、大阪人かよこいつ。
なんて、思いながら
重い体をもう一度むくっと起こす。
「まぁまぁ、落ち着け。
お嬢ちゃんは財閥御令嬢なんだ。
誘拐なんて慣れているだろう」
「はい、まぁ…
ボスがそうおっしゃるなら…」
渋々と引き下がる下っ端っぽい人。
…つーか。
財閥御令嬢??
誘拐?
まぁ、誘拐は分かるよ。
いきなりこの状況なら。
でも、財閥御令嬢??
ゆんちゃんの事を姫子先輩だと
思ってんの。この人達…
………。
うーわ、バッカじゃないの?
誘拐なんて大層な事するん
だったらちゃんと調べといてよね。
おかげさまで、
こっちは一生に一度するか
しないかの経験をする事に
なっちゃったじゃないかー
しかも、出来れば一生に
一度もしたくない経験を。